一年のうちで昼が最も短く、夜が長くなる節目が冬至です。
天文学では、太陽の見かけの通り道(黄道)上で黄経270°に達する瞬間を指し、日本ではこの頃にゆず湯に入ったり、“ん”の付く食べ物(なんきん=かぼちゃ 等)を味わう習わしが知られます。
冬至を境に日照は少しずつ伸びていき、「一陽来復」の言葉でも表現されてきました。
まずは今年の日付と基礎、由来や地域の風習、現代の過ごし方をまとめます。
行事の基本情報
区分 | 内容 |
---|---|
名称 | 冬至(とうじ) |
意味 | 二十四節気の一つ。太陽黄経が270°に達する時刻。北半球では昼が最も短くなる頃。 |
2025年の日付・時刻(日本) | 12月22日 0時03分(日本標準時)。 |
関連語 | 一陽来復(陰が極まり陽が戻る意)。 |
七十二候(冬至の三候) | 乃東生(なつかれくさ しょうず)/麋角解(さわしか つのおつる)/雪下出麦(ゆきわりて むぎ のびる)。時期はおおむね冬至期の三分割。 |
由来と歴史
- 天文学と暦法
冬至は、太陽が黄経270°の点を通過する瞬間。北半球では太陽高度が最も低く、結果として昼が最も短くなります。二十四節気は太陽の年周運動を24等分した基準で、季節の目安として使われてきました。 - 「一陽来復」という考え方
古くから、冬至を境に“陽の気”が戻る転換点と捉え、「一陽来復」の語で表現してきました。現代の辞典類でも、冬が去り春に向かう/運が向く意味が示されています。 - 食と湯の民俗
日本各地ではゆず湯やかぼちゃを取り入れる習わしが広く紹介されています。銭湯業界では冬至に合わせたゆず湯の実施例が毎年公表され、農林水産省は地域の郷土料理(例:かぼちゃのいとこ煮)や、冬至に“ん”の付く食材を食べる風習(運盛り)を解説しています。
現代の過ごし方
- 今年の日付をチェック
2025年の冬至は12月22日 0:03。カレンダーに印を付けておくと準備がしやすいです。 - ゆず湯を楽しむ
家なら湯船に浮かべる・布袋に包むなど。銭湯の実施は地域団体の当年告知が基準(例年、東京都浴場組合は冬至にゆず湯を案内)。 - “ん”の付く食べ物で運盛り
なんきん(かぼちゃ)、れんこん、にんじん、ぎんなん、かんてん、うどんなど。“保存が利くかぼちゃで栄養を補う”知恵としても語られます。 - 夜空の観察や学び
「最も昼が短い=日の出が最も遅い&日の入りが最も早い」とは限らない点は豆知識として面白いところ。理由は地球公転の楕円性や太陽の年周運動の見かけの速度変化によるものです。
関連する雑学や逸話
- “最短の昼”と「日の出・日の入り」のズレ
冬至は昼の長さが最短の日ですが、最も早い日没は冬至より前、最も遅い日の出は冬至より後に来るのが日本の一般的な傾向。覚えておくと実感と合います。 - 冬至と七十二候
冬至の三候は「乃東生/麋角解/雪下出麦」。草木や動物の移ろいで季節を切り取る古い知恵が表現されています。 - 朔旦冬至という年
冬至と新月が重なる特別な巡りを「朔旦冬至」と呼びます(本年の該当有無は年ごとに異なる)。用語として覚えておくと暦の話題が広がります。 - “ん”の付く食べ物=運盛りの理由
語呂合わせで“運(うん)が付く”と縁起を担ぐ習わし。代表はなんきん(=かぼちゃ)・れんこん・にんじん・ぎんなん・こんにゃく・かんてん・うどん。かぼちゃは夏?初秋収穫でも長期保存が利き、冬場の栄養(β-カロテンなど)も補えるため、実用性+滋養+語呂の三拍子で冬至の定番に。 - いとこ煮の“いとこ”はなぜ?(諸説あり)
①「追い追い(おいおい)に煮る」→“甥々”→“いとこ”という洒落から。小豆を先に煮て、後からかぼちゃ等を加える手順が語源になったとする説。 ②親族たとえの説。鶏と卵の親子丼のような直系ではなく、豆+瓜の取り合わせを“いとこ”にたとえた、という説明。 ※地域によっては里芋やさつまいもを合わせるなど、“小豆+旬野菜の炊き合わせ”の総称**として使われることもある。
まとめ
冬至は、太陽黄経270°に達する瞬間で、北半球では昼が最も短くなる頃。
2025年は12月22日 0時03分です。
ゆず湯や“ん”の付く食べ物といった身近な習わしを取り入れつつ、季節の転換点「一陽来復」を静かに味わう日にしてみてください。