10月初旬、朝夕にひんやりとした空気が漂い始めると、制服やスーツの生地も厚手へチェンジ。
日本では6月1日と10月1日が「衣替え」の目安として広く定着しています。
単なる洋服の入れ替えではなく、平安時代の宮中行事「更衣(こうい)」を起点とする長い歴史と文化が息づく季節行事です。
本記事では、由来と歴史をひもときながら、現代ならではの衣替えのコツや秋の味覚と結び付けた楽しみ方までご案内します。
行事の基本情報
項目 | 内容 |
---|---|
行事名 | 衣替え(ころもがえ) |
基準日 | 毎年10月1日(夏服→冬服) |
対象地域 | 全国 |
主な対象 | 学校・官公庁・企業の制服、一般家庭の衣類 |
公式サイト | 公式専用サイトはなし(文化庁の年中行事解説などを参照) |
周辺グルメ | 秋刀魚の塩焼き、栗ご飯、新米、きのこ料理など「秋の味覚」 |
由来と歴史
平安時代の宮中では、中国の服制を踏襲し、夏と冬の年2回装束を替える儀式が行われました。
当初は「更衣」と呼ばれましたが、女官の役職名と紛らわしくなり「衣更え」「衣替え」という表記へ変化します。
江戸時代になると武家社会の法令で「年4回」の衣替えが制度化され、暦や気候に合わせて袷(あわせ)・単衣(ひとえ)・帷子(かたびら)など着物の裏地を調整。
これが町人へも広がり、季節感を服装で示す習慣が定着しました。
明治維新で洋装が導入されると、役人・軍人の制服が6月1日と10月1日に一斉に切り替わる方式となり、学校制服や会社のドレスコードも追随。
現在の「6月=夏服」「10月=冬服」という2回制はこの頃に確立されたといわれます。
神社では今も「更衣祭」という神前儀式を4月と10月ごろに行い、神様の御衣を新調して季節の変わり目を寿ぎます。
人だけでなく、神々も衣替えをするという発想が日本文化らしいところです。
現代の衣替えの過ごし方
- 移行期間を設ける
10月1日を過ぎても残暑が残る年も多いため、学校では「移行期間」を設定し、ブレザーだけ冬服にしたり、カーディガンで調整するケースが一般的です。 - クリーニング&保管
夏物は皮脂や汗をしっかり落とし、防虫剤と乾燥剤を併用して保管。ネット通販で購入できる圧縮収納袋や防虫カバーは衣類の黄ばみ・虫食い対策に便利です(圧縮収納袋を見る)。 - ファッション業界の販促
アパレル各社は9月下旬から「衣替え応援セール」を開催。コートの早割やインナーまとめ買いなど、家計にも優しいタイミングです。 - SDGs視点
不要になった服はリサイクルボックスへ。古着回収キャンペーンを活用すれば、クーポンがもらえる店舗も増えています。
関連する雑学や逸話
- 「更衣(こうい)」は女官の名前でもあった
“更衣”は本来「衣をあらためる」という意味ですが、平安後期には女房職(中級女官)の呼称にもなり、混同を避けるために「衣替え」の字が広まったそうです。 - 武家の衣替えは“暑さ寒さ”ではなく“格式”優先
江戸武士は真夏でも礼装を着用する決まりがあり、蒸し暑い中での裃(かみしも)は苦行だったとか。裏地の有無でわずかに涼を取っていたという逸話が残ります。 - 神社の「装束替え」は地域差あり
伊勢神宮は5月と10月に「更衣祭」を実施。京都の八坂神社や奈良の春日大社なども同様の儀式を行い、祭神に季節の訪れを告げています。 - 天気予報でも使われる“衣替え指数”
気象情報会社は10月1日前後に「衣替え指数」を配信。最高気温23℃を境に、長袖シャツやジャケットの推奨度を数値化しています。
まとめ
衣替えは単なる衣類整理ではなく、平安宮中儀式から続く“季節を装いで感じる”日本独自の文化です。
10月1日を機に衣服を切り替えることで、秋の訪れを視覚的にも体感できます。
今年は歴史に思いを馳せつつ、収納術や秋の味覚を取り入れながら、楽しく衣替えを迎えてみてはいかがでしょうか?
コラム:衣替えをスムーズにする収納術3選
- 圧縮収納袋+防虫カバー-クローゼットの省スペース&虫食い防止(商品例を見る)
- シーズン別ハンガー管理?色付きタグで春夏・秋冬を分け、一目で取り出しやすく
- 除湿シート活用?押し入れ底に敷くだけでカビ対策。梅雨時の夏服保管にも◎