残暑がまだ厳しく感じられる8月下旬。
そんな時期に迎えるのが、二十四節気のひとつ「処暑(しょしょ)」です。
名前を聞いたことはあっても、「実際どんな意味なの?」「まだ暑いけど?」と思う方も多いかもしれません。
この記事では、そんな処暑の由来や意味をやさしく解説しながら、
日本の気候・農業・暮らしとの関わり、そして現代の私たちにできる季節の楽しみ方をご紹介します。
処暑とは?意味と由来をやさしく解説
処暑(しょしょ)は、二十四節気の第14番目。
毎年8月23日頃に訪れ、暦の上では「暑さが落ち着くころ」とされています。
「処」は“落ち着く”“止まる”の意味
- 「処(しょ)」=止まる・収まる
- 「暑(しょ)」=暑さ・熱気
つまり、「処暑」とは「暑さが和らぎ、落ち着いていく時期」という意味をもつ言葉です。
実際にはまだ暑さが残る日も多いものの、朝夕の風に涼しさを感じ始める頃。
こうした“気配”をとらえるのが、二十四節気ならではの視点です。
暦と気候の変化|暑さの中に見え隠れする秋の気配
処暑を過ぎると、気温のピークは徐々に下降傾向に。
しかし、日中はまだ30度を超えることも多く、残暑対策は引き続き重要です。
処暑の時期の特徴
- 朝夕に涼風が感じられるようになる
- 空が高くなり、雲の形が秋っぽくなる
- セミの声が減り、秋の虫の音が聞こえ始める
- 台風の発生・接近が多くなる時期
「暑さが落ち着く」と言っても、気象的には“気を抜けない季節”。
熱中症と台風には引き続き注意が必要です。
処暑と農業・暮らしのつながり
古来、処暑は農作業の節目とされてきました。
稲の穂が実り、秋の収穫に向けて本格的な準備が始まる頃です。
この時期に行われる農作業の一例
- 稲の登熟期に入る(収穫の準備段階)
- 果樹の摘果や収穫開始(梨・ぶどうなど)
- 秋野菜(大根・白菜など)の種まき準備
また、処暑は“夏の疲れが出やすい”時期でもあります。
生活リズムの調整や食事の見直しなど、体調管理にも目を向けたいタイミングです。
処暑の頃に行われる行事や風習
関西を中心とした「地蔵盆」
- 毎年8月23日・24日に行われる子どもたちの守り神・地蔵菩薩の供養行事
- 地域の子どもが集まり、提灯を飾ったり、お菓子をもらったりする
- 処暑と時期が重なることが多く、“季節の終わり”を告げる行事として親しまれている
このように、処暑は気象だけでなく、地域の風習や行事の節目としても重要です。
処暑の過ごし方|現代の私たちにできること
現代では、エアコンや冷たい飲み物で体を冷やしすぎてしまいがち。
処暑は、“秋への準備”を意識するのにぴったりなタイミングです。
処暑のおすすめの過ごし方
- 夏の疲れを癒す、胃腸にやさしい食事を心がける
- 秋服・秋用寝具などの用意を始める
- 台風への備えや避難グッズの点検を行う
- 秋のレジャー・行楽計画を立ててみる
「残暑の中に秋を探す」――それが処暑の楽しみ方です。
まとめ|処暑は“気配”で季節を感じる日本ならではの節目
処暑は、「暑さが落ち着く」という意味を持つ、夏と秋をつなぐ節目の言葉です。
- 昔の人は、気温だけでなく“空気の変化”を大切にしてきました
- 暦の中にある自然のリズムを感じることで、暮らしも丁寧になります
- 今こそ、体調を整え、次の季節に向けて“身と心をならす”時期
この処暑をきっかけに、自然との距離をもう一度近づけてみませんか?