朝の空気に白い息、庭の草にうっすら霜。
和風月名で11月を表す「霜月」は、文字どおり霜が降りはじめる季節感を映した呼び名です。
暦では立冬(11月上旬)と小雪(11月下旬)が巡り、昼は小春日和でも、夕方以降はぐっと冷える時期。
七五三や酉の市、勤労感謝の日など行事も多く、暮らしの節目が続きます。
言葉の成り立ちや、今に生きる楽しみ方を見ていきましょう。
行事の基本情報
区分 | 内容 |
---|---|
名称 | 霜月(しもつき)__11月の和風月名 |
期間の目安 | 11月1日?30日(太陽暦) |
二十四節気 | 立冬(おおむね11/7頃)、小雪(おおむね11/22頃) |
主な年中行事 | 七五三(11/15を目安)、酉の市(一の酉・二の酉など)、文化の日(11/3)、勤労感謝の日(11/23) |
季節語(例) | 霜夜/木枯らし/小春日和/冬隣 |
※節気の日付は年により前後します。各年の公表日に合わせて確認するのが安心です。
由来と歴史
名の由来(諸説)
- 霜降月(しもふりづき)説
霜が降りる季節にちなみ「霜降月」と呼ばれ、それが霜月へ縮まったとする説。 - 食物月(しもつき)説
収穫を神に供える新嘗の時季にちなみ、「食物(しもつ)」の月が音変化したとする説。 - 下月(しもづき)説
旧暦の年末に向けた“下(しも)半期の月”の意から、という説。
いずれも古記録や語源考に基づく諸説で、どれか一つに定まっているわけではありません。
暦の中の霜月
和風月名は本来旧暦(太陰太陽暦)の呼称で、旧暦の霜月=旧11月を指します。
旧暦は月の運行で月初が決まるため、現在の太陽暦11月とはずれる年が多く、概ね現在の12月前後に重なることもあります。
明治以降は太陽暦の11月を慣用的に霜月と呼ぶのが一般的になりました。
霜月と年中行事
霜月には、収穫感謝と来季の祈りに関わる行事が多く重なります。
七五三(成長祈願)、酉の市(商売繁盛・開運)、新嘗祭(宮中祭祀)といった行事は、それぞれ地域や主催で実施日や作法が異なりますが、いずれも“秋のしめくくりと冬支度”に通じる行事です。
現代の過ごし方
- 冬支度を進める
暖房・加湿の点検、寝具の入れ替え、衣服の防寒強化。乾燥対策と換気のバランスを意識。 - 旬を味わう
柿・りんご・みかん、根菜、白菜や春菊、鍋ものが主役になりやすい時期。新米を楽しむ家庭も多いですね。 - 行事に親しむ
七五三の参拝、酉の市で熊手選び、文化施設のイベント巡りなど。各催しの当年の公式案内を確認して計画を。 - 健康管理
朝晩の冷え込みと乾燥で体調を崩しやすい頃。就寝前の保湿・加湿、温かい飲み物で内側からケア。
関連する雑学や逸話
- 小春日和は“春”ではない
11月頃の穏やかな晴天を指す言葉。春の陽気ではなく、初冬のやわらかな暖かさのこと。 - 二十四節気の組合せ
霜月に入る節気は立冬→小雪。このあとの大雪(12/7頃)で本格的な冬の気配が濃くなります。 - 別称いろいろ
「雪待月」「神楽月」「神帰月」などの異称が文献に見られます(地域差・文脈差あり)。 - 歳時記の季語
俳句では「霜月」「冬隣」「木枯らし」などが冬の季語として使われます。
まとめ
霜月は、秋の名残と冬の入口が同居する季節の端境。
和風月名の響きに耳を澄ませつつ、行事や食、住まいの冬支度を少しずつ整えておくと、次の月が過ごしやすくなります。
予定の確認や外歩きの装いも、この時期に見直しておくと安心です。
付録:和風月名ミニ一覧(覚えやすい語感で)
睦月(1)/如月(2)/弥生(3)/卯月(4)/皐月(5)/水無月(6)/文月(7)/葉月(8)/長月(9)/神無月(10)/霜月(11)/師走(12)