毎年6月の第3日曜日になると訪れる「父の日」。
この日は普段なかなか伝えられない父への感謝の気持ちを表す大切な記念日ですが、そもそもどのような経緯で誕生したのか、詳しくご存知の方は少ないかもしれません。
実は「父の日」は、アメリカで一人の女性の想いがきっかけとなって始まりました。
今回は、その由来や日本への普及の歴史をどこよりも詳しく掘り下げ、さらに世界各地でのユニークな祝い方についてもご紹介します。
父の日の基本情報
- 行事名:父の日(Father’s Day)
- 開催日:毎年6月第3日曜日
- 発祥地:アメリカ合衆国(ワシントン州)
- 日本への普及時期:1950年代頃から広まり、1980年代に定着
父の日の由来と歴史
父の日が生まれた経緯とソノラ・スマート・ドッド
父の日の始まりは、アメリカ・ワシントン州スポケーンに暮らす一人の女性、ソノラ・スマート・ドッド(Sonora Smart Dodd)がきっかけでした。
ソノラは6人兄弟の末っ子でしたが、幼いころに母を亡くし、南北戦争の退役軍人である父親のウィリアム・ジャクソン・スマートに男手一つで育てられました。
父親が自らを犠牲にして懸命に育児を行う姿に感銘を受けたソノラは、1909年に教会で行われた「母の日」の説教を聞いて、「父親にも感謝を伝える日を設けるべきだ」と考えるようになります。
そこでソノラは、「父親を称える日」の制定を教会や地域の有力者に働きかけました。
その結果、翌1910年6月19日に、世界で初めての「父の日」の祝典がワシントン州スポケーンで開催されたのです。
その後、「父の日」は徐々にアメリカ全土へと広がり、正式な記念日として定着するようになりました。
日本への普及と広まりの経緯
日本に「父の日」が伝わったのは、1950年代のこと。
当時すでに日本でも母の日が広まっていたため、それに倣う形でデパートなど商業施設が中心となって普及活動を始めました。
最初のうちはあまり広まりませんでしたが、1970年代から1980年代の高度経済成長期にかけて、父の日にプレゼントを贈るという習慣が少しずつ定着。
特に1980年代以降、日本の百貨店や小売業界が積極的にキャンペーンを展開し、現在のように定番の行事として定着しました。
また、日本では「黄色いバラ」を父の日に贈る習慣がありますが、これは日本独自のもので、「家族を守る父親のイメージ」と黄色いバラの花言葉「献身」「尊敬」が結びついたことが理由です。
現代の姿と実施方法
日本における父の日は、家族で食事をしたり、お酒やネクタイなど父親が喜びそうな贈り物を贈ったりするのが一般的です。
しかし世界各国では、それぞれの文化を反映したユニークな祝い方も見られます。例えば…
- ドイツ
ドイツでは「父の日」を「男の日」とも呼び、男性同士でビールを楽しみながらハイキングやバーベキューをすることが定番です。 - 韓国
韓国では5月8日に「父母の日(両親の日)」として一緒に祝われ、両親に赤いカーネーションを贈ります。 - タイ
タイでは12月5日(前国王の誕生日)を父の日としており、人々が黄色い服を着て父親に感謝を伝えます。
国や地域によって「父の日」の日付や祝い方は多様であり、その違いから文化的背景を読み取ることもできます。
関連する豆知識や逸話
- 父の日がアメリカで正式な祝日として認められたのは、初の祝典から約62年後の1972年。リチャード・ニクソン大統領が正式な国民の祝日として制定しました。
- 父の日の提唱者ソノラ・スマート・ドッドの墓石には、「Father’s Day Founder(父の日の創始者)」と刻まれています。
まとめ
「父の日」は、一人の女性の感謝と尊敬の想いから生まれ、時代や国境を越えて世界中に広まりました。その歴史を知ることで、ただのイベントではなく、家族の絆を深めるための貴重な機会であることを改めて感じます。
今年の父の日は、由来や歴史を踏まえて、いつもより少し丁寧に感謝を伝えてみてはいかがでしょうか。