まだ暑いのに「立秋」?その理由、知っていますか?
真夏のような暑さが続く8月上旬。
天気予報などで「今日は立秋です」と耳にすると、
「えっ、秋ってこんなに暑いの?」と不思議に思う方も多いのではないでしょうか。
実はこの「立秋」、気温や気候ではなく、“暦の上での秋の始まり”を示す日。
古代から続く季節の区切り=「二十四節気(にじゅうしせっき)」のひとつで、
私たちの暮らしや言葉、風習にも密かに影響を与えているのです。
この記事では、そんな立秋の意味や由来、歴史、現代とのギャップまで、
やさしく・深くご紹介します。
立秋の意味とは?|「暦の上の秋の始まり」
立秋(りっしゅう)は、二十四節気の第13番目にあたり、
毎年8月7日または8日頃に訪れます(※年によって1日程度のずれあり)。
- 太陽の黄経が135度に達する瞬間を「立秋」と定めている
- これをもって「秋が始まった」と暦の上で宣言される
つまり、実際の気温や気候ではなく、天体の動きに基づいて決まる節目なのです。
なお、ここから「処暑(しょしょ)」までの期間を「立秋の候」と呼び、
暦の中ではこの時期から“秋のごあいさつ(残暑見舞い)”になります。
二十四節気と旧暦の関係|農暦から読み解く立秋の位置づけ
立秋のルーツは、中国の古代農耕社会で発展した「二十四節気」にあります。
- 二十四節気は、季節の変化を約15日ごとに区切った農業カレンダー
- 太陰太陽暦(いわゆる旧暦)と組み合わせて、農作業や年中行事の指標とされた
日本でも、これを元に田の仕事・収穫・祭り・食文化などが形成されていきました。
つまり、立秋とは「農作物が秋の気配を帯び始める時期」でもあったのです。
立秋の風習と由来|中国と日本の文化をたどる
中国の風習
- 迎秋の儀式(古代周代):
天子が西の郊外へ出向き、秋の神を迎える祭祀を行った。 - 「咬秋」:
秋の訪れを祝い、スイカや瓜をかじる習慣。 - 「貼秋?」:
夏の暑さで体力を落とした体に、脂ののった料理(豚肉など)を食べて栄養を補う。
日本の対応
日本では明確な行事こそ少ないものの:
- 手紙の季語に「立秋の候」などを用いる
- 残暑見舞いの起点とする
- 夏バテ対策の食文化(うなぎ・梅干しなど)と時期が重なる
中国ほど儀式的ではないですが、言葉・食・手紙文化に立秋が息づいています。
実際はまだまだ暑い?|“残暑”という言葉の背景
立秋を過ぎてもなお、連日30℃を超える日が続きます。
「こんなの秋じゃない!」と思う方もいるはず。
しかし、暦と体感気候がズレるのは当然のこと。
- 暦の上での秋:立秋(8月上旬)?立冬(11月上旬)
- 気象上の秋:9月下旬~11月中旬頃(※気象庁基準)
つまり、立秋は“気配”を感じ始める日であって、
実際の涼しさはまだまだ先ということになります。
このズレを意識することで、暦の言葉がより深く味わえるようになります。
現代の立秋の楽しみ方と意義
忙しい日々の中でも、こんな楽しみ方で立秋を感じてみてはどうでしょうか?
- 暑中見舞いから残暑見舞いへ切り替える
- 季節の変化を意識して秋支度(寝具や服の調整など)を始める
- 夕暮れの空や虫の声など、微妙な自然の変化に気づく
- 夏バテ対策とともに、秋に向けた体調管理を意識する
立秋は、「季節の入口を意識する日」。
暑さのなかに、ほんの少しの秋を探してみましょう。
まとめ|立秋は“気配”に気づくための暦
立秋とは、
- 天体に基づく季節の節目であり
- 古代からの農耕カレンダーの一部であり
- そして、自然と人との調和を教えてくれるヒントでもあります。
たとえまだ夏真っ盛りでも、
この日を境に「季節は秋に向かっているんだな」と感じてみる。
そんな暦との対話が、私たちの暮らしを少し豊かにしてくれるかもしれません。