秋の終わり、ワイン好きの話題をさらうのがボジョレーヌーボー。
収穫した年に仕込む“新酒”で、解禁日は毎年11月の第3木曜日に定められています。
2025年は11月20日(木)。フレッシュな果実味が魅力で、軽やかな飲み口は食卓にも合わせやすいのが特徴。
ここでは、解禁日のルールや歴史、基本の楽しみ方をシンプルに整理します。
行事の基本情報
区分 | 内容 |
---|---|
名称 | ボジョレーヌーボー(Beaujolais Nouveau) |
2025年の解禁日 | 2025年11月20日(木)(第3木曜日) |
解禁ルール | 毎年11月の第3木曜日に市場解禁(1985年のフランス政府の布告で統一) |
スタイル | フランス・ボジョレー地区の新酒(primeur)。対象はボジョレー/ボジョレーヴィラージュのみ |
使用ブドウ | ガメイ(Gamay) |
醸造の特徴 | (セミ)マセラシオン・カルボニックにより軽快でフルーティな味わい |
由来と歴史
- もともとボジョレーでは収穫直後の若ワインを地域で祝う習わしがあり、20世紀に商業的な「ヌーボー」へ発展しました。
AOCの運用変更を経て、1950年代に“早出し”が認められ、さらに1985年に解禁日が“11月の第3木曜日”で統一され、世界規模のイベントとして定着します。
- 解禁日は“各国の現地日付で第3木曜から販売開始”とされ、世界中のワインショップやレストランでお祝いムードが広がります。
コラム:AOCってなに?(一言で言うと「産地名の約束」)
- 正式名称:Appellation d’Origine Controlee(原産地呼称統制)。フランスの制度で、INAOという機関が管理。
- 目的:「どこで・何で・どう造ったか」を法的なルールで保証すること。
- 主なルール:産地の範囲、使用ブドウ(例:ボジョレーはガメイ)、栽培方法・収量上限、醸造法、最低アルコール度、発売時期など。
- 表記の見方:ラベルに Appellation Beaujolais (Villages) Controlee などと入る。
- AOPとの関係:EUではAOP(保護原産地呼称)に統合。実務ではAOC表記も広く使われている。
- 誤解しがちポイント:AOCは“絶対的な格付け”ではなく、産地と製法の基準を守っているという表示。自由度の高いIGPやVin de Franceも別の魅力がある。
ボジョレーヌーボーの場合
- ヌーボーを名乗れるのはAOC BeaujolaisとAOC Beaujolais-Villages。
- いわゆる“10のクリュ(Morgon, Moulin-a-Vent など)”はヌーボーの対象外(造る場合は格下げしてBeaujolais/Villagesとして出す)。
ラベル読み取りの例
- Beaujolais-Villages Nouveau → AOCは“Beaujolais-Villages”、スタイルは“新酒(Nouveau)”。年号は収穫年を表示。
現代の楽しみ方
- 温度は“軽く冷やして”
12?14℃程度が目安。フレッシュさが際立ち、果実味が素直に感じられます。 - 料理との相性
塩味・旨味のある軽やかな料理と好相性。例:ハム・ソーセージ、唐揚げ、焼き鳥(たれ・塩どちらも)、たこ焼き、ピザ、チーズ(ブリやカマンベールなど)。 - 開けたてを気軽に
ヌーボーは“今飲んで楽しい”のが持ち味。難しいことは考えず、家族や友人とテーブルでシェアする感覚で。 - ラベルで選ぶポイント
「Beaujolais Nouveau」と「Beaujolais-Villages Nouveau」の2種があり、後者は産地がやや限定されます(“クルー”はヌーボーの対象外)。
関連する雑学や豆知識
- “ヌーボー”の意味:フランス語の“新しい(nouveau)”。その年の収穫で造ったワインを指します。
- なぜ軽やか?:全房を二酸化炭素で満たしたタンクに入れて果粒内発酵を促す(セミ)マセラシオン・カルボニックの効果。タンニンが穏やかで、赤でも冷やしておいしいスタイルに。
- 対象アペラシオンの範囲:ボジョレー/ボジョレーヴィラージュのみがヌーボーを名乗れます(クルー・ボジョレーは対象外)。
- “解禁レース”の名残:かつてはパリや海外にいち早く届ける“レース”が話題になり、解禁イベントが世界へ広まりました。
まとめ
ボジョレーヌーボーの解禁日は、毎年11月の第3木曜日。2025年は11月20日(木)です。
ガメイの果実味を気軽に楽しめる年中行事として、気負わず“今おいしい一杯”を。
食卓の定番おかずとも相性よく、会話のきっかけにもなります。
ガメイ(Gamay)ってなに?
概要
- フランス原産の黒ブドウ品種(正式名:Gamay Noir a Jus Blanc=“白い果汁の黒ブドウ”)。
- 代表産地はボジョレー(ブルゴーニュ南部)とロワールの一部。スイス、カナダ、米オレゴンなどにも広がっています。
- 早熟・高酸で、軽やか?中庸ボディ・渋み控えめの赤ワインになりやすいのが特徴。
味わいの特徴(目安)
- 香り:イチゴ、ラズベリー、さくらんぼ、すみれ。
- 造りによってはバナナやキャンディ(マセラシオン・カルボニック由来の香り)が出ることも。
- 口当たり:酸はシャキッと、タンニンは比較的やさしい。
代表スタイル
- ボジョレーヌーボー:その年の収穫で仕込む“新酒”。フレッシュで軽快。
- クリュ・ボジョレー(10村の上位区画):モルゴン、ムーラン・ナ・ヴァン、フルーリー等。果実味は豊かで、村によってコクや熟成力も期待できます。
- ロワールのガメイ:やや冷涼感のある、繊細で酸のきれいなタイプが見られます。
醸造のポイント
- ガメイは全房発酵/(セミ)マセラシオン・カルボニックと相性が良く、果実味を前面に出したスタイルが生まれやすいです。
- しっかり抽出・樽熟成で、より骨格のあるスタイルに仕上げる造り手もいます。
合わせやすい料理
- カジュアル:ハム・ソーセージ、唐揚げ、焼き鳥(塩/タレ)、たこ焼き、ピザ
- 和食:肉じゃが、すき焼きの割り下系、照り焼きチキン
- チーズ:ブリ、カマンベールなど白カビ系
- サーブ温度:12~14℃くらいに“軽く冷やす”と持ち味が出やすいです。
小ネタ
- 1395年、ブルゴーニュ公フィリップ豪胆公の勅令で、高品質化の方針からコート・ドールではガメイの栽培が制限された、という有名な史話があります(いまは地域ごとの役割が整理されています)。
- 名称の「a Jus Blanc」は、果肉(果汁)が白いことを指し、果肉まで赤い“タンニン濃いタイプ”ではないという意味合いです。
ひとことで言うと:フレッシュな果実味と飲みやすさが魅力の赤用ブドウ。ヌーボーで“いま”を楽しむのも、クリュで“じんわり旨み”を味わうのもアリ、という品種です。
ミニコラム案1:マセラシオン・カルボニックって?
- ぶどう房をタンクに入れて二酸化炭素で満たす→粒の中で発酵が始まる製法。
- 渋みはやさしく、いちご・さくらんぼのような果実感が前に出やすい。
- ヌーボーの“軽やかでフレッシュ”な個性の鍵。
ミニコラム案2:Beaujolais/Villages/Cru の違い(超ざっくり)
- Beaujolais:広域。気軽でフレッシュ。
- Beaujolais-Villages:村名クラスの範囲。やや輪郭が出やすい。
- Cru Beaujolais(10村):村名のみで表示(ヌーボー対象外)。産地によっては厚みや熟成向きも。
ミニコラム案3:保存と飲み方の目安
- 温度:12~14℃くらいに軽く冷やすとバランスが整いやすい。
- 開栓後:フレッシュさ重視なら当日~翌日が飲み頃の目安。
- グラス:小ぶりの万能型(テイスティング形)で香りがまとまりやすい。