日本の伝統祭りの中でも、これほどまでに「武士の魂」が体現される行事があるでしょうか?
福島県の南相馬市などで毎年開催される「相馬野馬追(そうまのまおい)」は、甲冑をまとった騎馬武者たちが大地を駆け抜ける勇壮な神事。
その迫力ある光景はまるで戦国時代そのもので、観る人すべてを圧倒します。
しかしこの祭り、見た目の派手さだけでなく、実は1000年近く続く深い由来があるのです。
今回は、相馬野馬追の歴史や成り立ちをじっくりと紐解いていきます。
祭りの基本情報
- 祭り名:相馬野馬追(そうまのまおい)
- 開催日:毎年7月最終土曜~月曜(3日間)
- 開催地:福島県南相馬市・相馬市(相馬太田神社、雲雀ヶ原祭場地ほか)
- 特徴:甲冑姿の騎馬武者行列、甲冑競馬、神旗争奪戦
祭りの由来と歴史
諸説の提示
相馬野馬追の起源として最も有力なのは、平安時代中期の武将・平将門によるものです。
将門公が下総国小金ヶ原(現在の千葉県松戸市・流山市付近)で、野生の馬を神前に奉納する神事を行ったことが始まりとされています。
その後、将門の子孫とされる相馬氏が陸奥の地(現在の福島県南相馬市)に移り住み、この行事を代々継承。江戸時代には相馬忠胤公が牧場を整備し、現在の雲雀ヶ原(ひばりがはら)祭場地で執り行われるようになりました。
私の一押しの諸説
筆者が特に注目したいのは、「野馬を神に奉納する」という由来です。
戦のためではなく、神に祈りを捧げる清らかな行為から始まったという点は、現代に生きる私たちにとっても学びのあるエピソードだと感じます。
軍事訓練の一環でありながら、神事としての意味を失わずに受け継がれている点は、日本人の精神性の高さを象徴しているようです。
現代の姿と実施方法
相馬野馬追は、毎年7月末に3日間にわたって開催されます。見どころは以下の通りです。
- 出陣式(1日目)
神社での出陣の儀式の後、武者たちが旗指物をなびかせながら街中を進軍します。 - 甲冑競馬・神旗争奪戦(2日目)
雲雀ヶ原祭場地にて、フル装備の騎馬武者が騎馬戦のような競技を披露。空中から舞い降りる「神旗」を奪い合う勇姿は圧巻です。 - 野馬懸(のまがけ)(3日目)
野馬を捕らえ、神前に奉納する神事。相馬太田神社で行われ、祭り本来の起源を体現する荘厳な儀式です。
観光客数・経済効果と周辺観光スポット
相馬野馬追は、例年10万人規模の観光客を動員する一大イベント。
地元経済への波及効果も大きく、夏の南相馬市にとって欠かせない存在です。
周辺のおすすめ観光スポットとしては:
- 相馬太田神社…相馬家の総氏神
- 道の駅南相馬…地元グルメや土産に最適
- 小高城跡…戦国時代の史跡と自然を楽しめる穴場スポット
関連する豆知識や逸話
- 相馬家の家紋「九曜紋」は、将門公の霊を祀る印とされています。
- 騎馬武者の衣装や甲冑は、多くが本物の鎧を代々受け継いだものであり、地域の誇りの象徴でもあります。
- 相馬野馬追の武者行列は、総大将・副大将・騎馬軍団など軍編成が忠実に再現されている点も注目!
筆者の注目ポイント
筆者がもっとも注目したいのは、「伝統が生きている」という実感です。
イベントとして派手さだけを追うのではなく、地域の歴史や信仰を深く根ざした儀式であることが随所に感じられます。
特に神旗争奪戦の緊張感と、野馬懸の神聖さはぜひ現地で体感してほしい瞬間です。
おすすめの楽しみ方
- 出陣式と行列を追いかける:地元の通りを堂々と進む武者たちの姿は大迫力!
- 甲冑競馬をベストポジションで観覧:雲雀ヶ原祭場地では事前に観覧場所をチェック!
- 野馬懸で本来の神事の意味に触れる:静寂と祈りの時間に心を整えてみましょう。
公式サイト
1000年の時を超えて受け継がれる相馬野馬追。
その背後には、武士の誇り、地域の結束、そして神への祈りが込められています。
ただ観るだけでなく、その“意味”を知ることで、祭りが何倍にも心に響くものになるでしょう。
この夏は、ぜひ相馬の大地で、歴史と魂が交錯する瞬間を体験してみてください。