「夏至」といえば一年で一番昼が長い日として知られていますが、実は関西地方を中心に、あるユニークな習慣が伝わっています。
それが「夏至の日にタコを食べる」というもの。
どうしてタコなのか、不思議に感じる方も多いでしょう。
今回はそんな素朴な疑問を解き明かしながら、この風習が生まれた由来や、夏至の日におすすめのタコ料理まで詳しくご紹介していきます。
【行事の基本情報】
- 行事名:夏至(げし)
- 日付:毎年6月21日ごろ(年によって変動あり)
- 地域:関西地方(特に大阪周辺で盛ん)
- 特徴:タコを食べる習慣がある
夏至にタコを食べる由来とは?
夏至は、一年のうちで昼が最も長くなる特別な日であり、日本各地で農業と密接に関わる節目の日とされてきました。
特に関西地方では、古くから「夏至にタコを食べる」習慣が根付いています。
その由来は主に次の2つに集約されます。
「タコの足のように根を張る」稲の豊作祈願説
タコは8本の長い足を持ち、それぞれの足には無数の吸盤があります。
その姿が、「植えたばかりの稲がタコの足のようにしっかりと根を張り、大地に深く根付く」ことを連想させるためです。
農耕が盛んだった昔、農民たちは夏至の節目に稲の健やかな成長と豊作を願い、縁起物としてタコを食べるようになりました。
タコの赤色が持つ「厄除け」の意味合い
タコの赤色は昔から魔除けや厄除けを意味する色として好まれていました。
そのため、夏至の節目にタコを食べることで、家族が健康で一年を過ごせるよう願ったという説もあります。
これら2つの意味が結びつき、夏至にタコを食べるという風習が広まったと考えられています。
夏至の定番!おすすめタコ料理をご紹介
関西地方では、夏至にタコを食べる際、以下のような料理が定番です。
タコ飯(たこめし)
夏至に家庭でよく作られる炊き込みご飯です。タコの旨味がご飯に染み込み、夏バテ予防にもぴったり。家族の健康を願って作られることも多い料理です。
タコの酢の物
暑くなる時期、食欲が落ちる夏至にぴったりの料理。タコときゅうりを酢で和え、さっぱりといただきます。疲労回復効果も期待できます。
タコのお刺身
シンプルに新鮮なタコを刺身で食べることも多く、そのプリッとした食感は夏の到来を感じさせます。
タコの天ぷら
大阪では特に好まれる一品で、タコの弾力ある食感を楽しめます。スタミナをつけて暑い夏を乗り切るという意味合いも込められています。
夏至にタコを食べる風習、全国にも拡大中?
かつては関西地方だけの習慣でしたが、最近ではテレビやSNSを通じて全国にも知られるようになりました。
縁起を担ぎたい方、季節の行事を楽しみたい方に人気が広まりつつあります。
【関連する豆知識や逸話】
- タコにはタウリンが豊富に含まれており、夏バテ防止、疲労回復にも効果的です。夏至にタコを食べるのは栄養学的にも理にかなった習慣だと言えます。
- 実は、江戸時代にはすでに関西で「夏至にタコを食べる」風習が存在していたという記録も残っています。当時から親しまれていた歴史ある行事なんですね。
【まとめ】
夏至の日にタコを食べるという関西特有の風習には、ただの縁起担ぎ以上の深い意味が込められていました。
稲の豊作や家族の健康への願いが込められ、時代を超えて人々に愛されてきた習慣です。
今年の夏至には、ぜひこの由来を思い出しながら美味しいタコ料理を楽しんでみてはいかがでしょうか。