高山祭(たかやままつり)は、岐阜県高山市で行われる華やかな祭礼で、日本三大美祭(京都の祇園祭、秩父の夜祭、岐阜県高山市の高山祭)の一つとして知られています。
春と秋の2回開催されますが、本記事では春の山王祭に焦点を当て、その由来や歴史、見どころを詳しく掘り下げていきます。
高山祭(春の山王祭)とは?
高山祭は、春と秋の年2回開催される伝統的な祭礼で、春の祭りは「山王祭」と呼ばれます。
高山市の日枝神社の例祭として、毎年4月14日・15日に行われ、春の訪れを告げる重要な行事です。
この祭りの最大の特徴は、職人の匠の技が結集した屋台(山車)と、精巧なからくり人形です。
豪華な装飾を施された屋台が町を巡り、からくり人形の見事な演技が披露される光景は圧巻です。
また、夜には屋台が提灯で飾られ、幻想的な雰囲気を演出します。
高山祭の由来と歴史
高山祭の起源は諸説ありますが、江戸時代の17世紀頃にはすでに存在していたとされています。
高山は江戸時代、幕府の直轄地(天領)であり、豊かな森林資源と優れた職人技術を背景に、文化が発展しました。
その影響を受けて、京都の祇園祭に匹敵する華麗な祭礼が行われるようになったと考えられています。
また、祭りに登場する屋台の装飾やからくり人形の技術は、京都や江戸の文化の影響を受けながらも、独自の発展を遂げました。
屋台は「動く陽明門」と称されるほど精緻な彫刻や漆塗りが施され、まさに江戸時代の技術の粋を集めた芸術品と言えます。
ここでいう「陽明門」とは、栃木県の日光東照宮にある壮麗な門のことで、極めて精緻な彫刻と華麗な装飾が施されていることで知られています。
陽明門は江戸時代の匠たちによる最高峰の建築美を象徴する存在であり、その豪華さと技術力の高さから「日暮れ門(ひぐれのもん)」とも呼ばれています。
これは、あまりの美しさに見とれているうちに日が暮れてしまうという意味を持ちます。
高山祭の屋台が「動く陽明門」と称される理由は、その豪華絢爛な装飾にあります。
屋台には金箔をあしらった彫刻や細密な透かし彫りが施され、まるで陽明門のような荘厳な美しさを漂わせています。
さらに、精緻な彫刻のモチーフには、龍や鳳凰、唐獅子などの縁起の良い動物が多用され、これらの意匠が江戸時代の職人技を象徴しています。
高山の屋台職人たちは、日光東照宮の建築技術に感銘を受け、それを移動可能な形で表現しようとした結果、現在のような壮麗な屋台が生まれました。
高山祭の見どころ
豪華絢爛な屋台巡行
祭りの主役とも言える屋台巡行は、計12台の豪華な屋台が町を練り歩く圧巻の光景です。
特に、「鳳凰台」や「龍神台」といった伝統ある屋台は、細部に至るまで緻密に作り込まれており、その美しさは一見の価値があります。
からくり人形の奉納
からくり人形が見せる巧妙な動きは、高山祭の大きな魅力の一つです。
綿密な機構によって制御された人形が、見事な演技を披露する様子は、江戸時代の技術の粋を感じさせます。
幻想的な夜祭
4月14日の夜には、提灯で飾られた屋台が高山市の町をゆっくりと巡ります。
昼とは異なる幻想的な雰囲気が楽しめるため、訪れる際はぜひ夜祭の時間も確保しましょう。
観光情報と経済効果
- 観光客数:毎年20万人以上が訪れる。
- 経済効果:地元の飲食店や宿泊施設が賑わい、観光業への影響が大きい。
- 周辺の観光スポット:高山の古い町並み、高山陣屋、飛騨の里など。
- 穴場スポット:飛騨護国神社や日下部民藝館など、比較的観光客が少なく落ち着いた場所もおすすめ。
筆者おすすめの楽しみ方
屋台巡行を間近で見るスポットを確保
屋台巡行を存分に楽しむためには、早めに場所を確保するのがポイントです。特に本町通りや神明町あたりは絶好の観覧スポットです。
夜祭の幻想的な雰囲気を堪能
夜祭では、提灯の明かりに包まれた屋台が静かに進み、昼間とは異なる神秘的な雰囲気を楽しめます。
高山のグルメを堪能
高山ラーメンや飛騨牛の握り寿司など、高山ならではのグルメも楽しみの一つです。
まとめ
高山祭(春の山王祭)は、歴史と職人技が融合した華麗な祭礼です。
屋台巡行やからくり奉納など、見どころ満載のこの祭りをぜひ体感してみてください。
公式サイトはこちら: https://www.hidatakayama.or.jp/hidatakayama/maturi_spring/